湯河原 熱海 真鶴の別荘|オオクスライフアシスト

村 雨

  • 京都
  • 戸建
  • 成約済

村 雨

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|Introduction
 嵯峨野山荘

京都市西部、大堰川とその周囲にそびえる山麓を含む一帯の自然豊かな「嵯峨野」に佇む、建築と庭園の美しさが際立つユニットをご紹介します。








| Select music  Ave Maria · Bach · Callas 02:47

 

|嵐山
「美」「歴史」「暮らし」のあるバリエーション

「嵐山」は京都市の西部に位置し、大堰川(おおいがわ)とその周囲にそびえる山麓を含む一帯の自然豊かな地域となる。大堰川の豊かな水辺、四季折々に表情を変える山麗、美しくも険しい自然を背景に社寺や伝統的建造物が建ち並び、自然と歴史が調和する特異な景観となる。また、田畑の脇には茅葺屋根の「庵」集落があり穏やかな日本の原風景も残る。「美」「歴史」「暮らし」のあるバリエーションが豊かな地域といえる。

嵐山周辺観光リンク






|嵯峨野
背筋が伸びるような「格式」を感じる

本件は愛宕山の麓に広がる「嵯峨野」にある。この地は平安時代より公家や歌人が好んで別荘や菴を構えた景勝地として親しまれてきた。現代においては歴史的に有名な社寺が点在することで国内外の人々が訪れる観光地として静かな賑わいをみせる。本件のある地域はツーリストが往来する通りから少し丘を登った閑静な環境の場所にある。周囲には数寄屋門とその先に日本庭園が設えられた質の良い日本家屋が点在し、通りはよく清掃され背筋が伸びるような「格式」を感じる邸宅街となる。











| Information
渡月橋 約2.3km
竹林の小径 約1.5km
天龍寺 約2.0km
二尊院 約800m
祇王寺 約700m



|建物・庭園
再現が難しい実に美しい建築意匠にあふれている

1990年に建築された建物は京の都を広角に眺める鳥が翼を広げたようなディテールの数寄屋建物となり、現代では再現が難しい実に美しい建築意匠にあふれている。また、高基礎部分の空間はラウンジやライブラリーとして設えられ日本間だけでなく洋式の空間があることはじつにありがたい。建物と庭園の設えについては設計及び建築を行った数寄屋建築の名匠「上野工務店」の建築作品集の記事を以下に引用する。


「嵯峨野山荘」








近くに落柿舎、二尊院、念佛寺と続くこの西嵯峨野には、恵まれた自然と歴史的な風土が人の心を引き寄せるのであろうか、文学の香り漂う道を尋ね歩く人が一年中あとを断たない。

京都の中でもこのあたりは特に建築物の規制がきびしい所であるが、それだけに良い環境に守られている地域でもあり、美しい自然とのふれ合いを求めてこの地域に越してくる人が多いのも、この嵯峨野である。この家の住人も同じように自然の季節のうつろいを求めて来られた一人である。

この敷地は道路より下に広がる傾斜地で、間口が狭く奥の方で広がった扇状になっている。栗材を使った茅葺の門を開けると、下の建物迄のアプローチが紅葉の木で埋められている。春の新緑と秋の紅葉を出来る限り楽しんで頂くために植えたものであるが、この季節に招かれた客人は、この門前でしばし足止めにされる程美しい光景に出くわすことが出来る。さらに紅葉の足元をどうだんつつじと熊笹で根締めがされているその中を、大きな自然の石段が下の玄関迄の案内役をしてくれている。

平屋瓦葺寄せ棟のこの建物は、小屋裏の換気が取りにくいこともあって、棟に大きな越屋根をつける事によって解決を計っている。又庇の棰の勾配を変え、その間に補強を入れることにより、軒の出の深い庇を可能にしている。

玄関深草叩き仕上げの土間に、沓脱石おして大きな鞍馬の自然石が据えてある。その後ろに、摺漆のかかった幅の広い桜の式台を入れ、両脇に横舞良戸を嵌めて、中の二枚の紙障子を入口にあてている。天井は、外の庇の棰を玄関迄取り込んだ勾配天井にしており、大きく、外の空間を持ち込んでいる。取次を経て十条の客間に入いる。この床の間は、右手に廊下の採光を兼ねた大きな平書院を設けており、床柱は赤松杢、大面取角柱を使い、この座敷の格式を上げている。床脇に漆塗の通し柵を目障りにならぬよう低く設け、その後ろに紙障子を床の間の壁の内側に引き込めるようにしてあるのは、この客間から茶室前の勾欄の付いた広い縁を通して、外の紅葉林の景色を窓枠一面に見ることが出来るように配慮したためである。又、この入側の紙障子を開けると、高床になった広縁が書斎棟からこの客間の前を経て、茶室前の広い縁に至る迄、矩折に設けてある。そしてここからは、嵯峨野の山裾と、古都の町並みが一望にして見渡せる大変見晴らしの良い場所でもある。

形式に拘らないこの茶室は、勾欄の付いた広い縁とも合わせて、幅の広い使い方をして頂くように計画したのであるが、美しい借景とこの庭とが解け合って、予想以上に嵯峨野の四季を味わって頂ける空間になったようである。

この建物の柱材は全て栗材を用い、内法材も木の色の濃い春日杉等を使い、全体に落ち着いた雰囲気に仕上げているのは、時代を経た日本建築がもつ美しい材料の光択と風合に、少しでも早い時期から親しめる事を配慮してのことで、これは又、施主の大きな希望でもあった。

——— 京都書院発行「京の数寄屋/上野工務店作品集」より抜粋






























































































|まとめると
代々受け継いでいく「美の系譜」

日本の家と庭は繊細でじつに美しい。特に吟味された材料で名匠が仕立て日本人の自然観を根底に育んだ「数寄屋普請」は建物の枠を超え、その美しさと空間の無限さから得られる精神的な価値は計り知れない。このような建物は日を重ねるごとに美しさと深みが増していくのだが、繊細なものであるがゆえに気を許せば自然に侵食されてしまうはかない一面もあり、良い状態を維持するには家と対話し細やかに世話をする必要がある。また、現代人の暮らしにおいては快適とは言えず誰しもが日常的に使えるものとは言い難い。すなわち、本件を所有するということは、ヴィンテージの車や時計を持つように、その個体の長い歴史の中で、その時代のオーナーが保存と改良を繰り返し代々受け継いでいく「美の系譜」の担い手となり、一時、預かるような心持で所有するということになる。しかしながら、ただ保存していくだけではつまらない。家は人が出入りし使われることでその存在意義があることを考えると、適度に使われることが理想的だ。もちろん、私邸として使うのも構わないが前述したように暮らすにはいささか不便さを感じることを考えると、他の利用も視野に入れる必要がある。例えば、京都「嵐山」という、自然、歴史、神社仏閣など恵まれた観光資源を背景に、個展、茶会、香会、試飲会のイベントの会場、限定した撮影を行うスタジオ等、多くの人とこの空間の美しさを享受する使い方が良いように思える。また、近隣の文化施設等とのネットワークを図りこの地域一体となった文化的なツーリズムの一端を担うという可能性も考えられる。所有の仕方は人それぞれだが、いずれにしても年数を重ねるごとに深みと美しさを増していく建物、土地にしっかりと根を張り大きく育ち始めた若々しい樹木、地面を覆う苔の地被、これからがとても楽しみなユニットといえるだろう。




 

|物件概要

物件名 / 「村雨」
価格 / 成約済
所在地 / 京都市右京区嵯峨亀山町
交通 / JR京福「嵯峨嵐山駅」約2.4km
土地面積 /  769.05㎡(約232.64坪)
地目 / 宅地
建物面積 / 1階 157.93㎡・地下 69.79㎡   
建物構造 / 木造かわらぶき地下1階付き平家建
建築年 / 1990年
間取り / 平面図参照
インフラ / 公営水道・個別浄化槽・個別プロパンガス・光ケーブル
現況 / イベントスペース・別荘として利用中
特徴 / 数寄屋建物
眺望 / 京都市街(落葉時)
取引態様 / 仲介
物件番号 / KYOK0341